POINT
半導体レーザを使用する
半導体レーザ(ダイオードレーザ)は、半導体チップを高原とするレーザであり、比較的コンパクトでエネルギー効率の高いレーザです。透明な樹脂は透過しやすい特性を活かし、「透過材+吸収材」の組み合わせでの溶着に利用されます。樹脂側に溶着リブのような特別な形状を必要とせず、バリや粉塵が発生しないクリーンな溶着を実現します。ただし、反射や散乱など光特有のパラメータに注意も必要です。
レーザ溶着の長所と考慮すべきポイント
レーザ溶着の特長
細く絞ったレーザ光で狭い範囲にのみ入熱させるため、ワークへのダメージが最小限に抑えられます。そのため、基板の電子部品など溶着部近くに熱に弱い部品があっても問題ありません。また、沈み込み(潰し代)が無いためコンタミレスな溶着が可能となります。
この特長は医療や食品など、人体への影響を考慮する製品の溶着に際して、特に効果を発揮します。
レーザ照射ヘッドは手のひらサイズであり、自動機などでの取り回しが容易で、多品種を1台で対応することも可能となります。
※加圧密着させるためのワークセット治具は個別に必要です。
熱可塑性樹脂であれば、その殆どがレーザ溶着可能な材質となります。
- 無振動・非接触加工
ワークに過剰なストレスを与えず、傷や変形、損傷などが生じません。
- 熱影響が最小限
レーザを吸収する部分のみが発熱するので、周囲への熱影響が微小です。
- 溶着ラインが綺麗
溶着リブが不要(面での溶着)で熱影響も微小なため、溶着ラインが非常に綺麗に仕上がります。
- 3次元加工にも対応
NCステージや軸ロボットとの併用により、3次元形状にも対応可能です。
- 多品種対応
プログラム変更により様々な加工軌跡に対応できるため、1台で多品種対応が可能です。
レーザ溶着の注意点
樹脂材料に関して、熱可塑性樹脂であれば、その殆どがレーザ溶着可能となりますが、注意すべき点として「透過」材と「吸収」材の組み合わせである必要性が挙げられます。「光」を応用した技術であるため、対象を加熱し溶融させるエネルギーも「光」です。そのため、溶着する対象の片側は光を「吸収」する材質である必要があります。その他にも表面での「反射」と透過中の「散乱」も考慮すべきパラメータとなります。
例えば樹脂表面にコーティングや塗装がされているものや、ガラス繊維等が大量に含まれている場合は溶着が出来ない可能性もあります。PPSなどの結晶性樹脂も透過中の散乱が高くなりやすいので注意が必要です。

レーザ溶着部の形状は、干渉や屈折が起きないような形状が理想的です。
また、加圧密着が出来ることが大前提となります。
途中で干渉や屈折がある場合、レーザ光のエネルギーが不均一となり溶着品質が安定しません。面直に入射できていない場合も同様です。
