レーザ切断の特長と注意点

POINT

CO2レーザを使用する

CO2レーザは、炭酸ガス(CO2)をレーザ媒質とするガスレーザで、波長10.6µmの赤外線レーザを発振します。ほぼすべての有機材料に高い吸収率を持っており、透明な樹脂でも透過せずに吸収されます。高エネルギーで樹脂を瞬時に蒸発させるため、スピーディーな加工が可能です。また、通常の刃のようにカットの方向性がなく、三次元形状や曲線の加工にも適しています。非接触加工のため、工具の摩耗もありません。樹脂を蒸発させるため、切粉のようなものは出ませんが、発生するガスの処理が必要となります。

レーザ切断の長所と考慮すべきポイント

レーザ切断の特長

カッター刃などの刃具を必要としないので、短期消耗品はありません。
また、樹脂を昇華させるため切削カス(切り粉)が発生せず、後処理が不要となります。
※ヒューム(溶けた樹脂の煙)が発生するので、ヒューム処理は必要です。

様々な加工形状に対応可能、かつレーザの動きを変えるだけで加工形状を変えることができるので汎用性が高い工法と言えます。
例えば自動車業界では、車種や仕様によって様々な形状の加工が要求され、それに合わせて加工ツールの段取り替えも必要となりますが、レーザであれば1台で対応可能です。試加工後の細かな形状調整もティーチング修正だけで対応可能となります。また、マイナーチェンジで穴形状が変更になった場合にもプログラム変更だけで対応可能なケースが多いといえます。

  1. 非接触加工
    ピアス(プレス打ち抜き)の様な刃物等の摩耗が無いため、管理が容易。
    メンテナンスの手間や費用を軽減。
  2. 切削カスが出ない
    エンドミル加工の様な切削カスが発生しないため、切削カスの処理が不要。
  3. 多品種対応
    プログラム変更により様々な加工軌跡に対応できるため、1台で多品種対応が可能。
  4. 高い汎用性
    新規ワークの加工や設変対応などの際も、受治具とプログラム変更(ロボットティーチング)で容易に対応可能。

レーザ切断の注意点

カットの際に樹脂を溶かす(昇華させる)ため、溶けた際に有害なガスを発生させるもの(塩化ビニールなど)を加工する際は注意が必要です。

フルカットした場合では、レーザはカット位置では止まらず貫通します。通常、カット位置に焦点を当てるため貫通したレーザは広がり、エネルギー密度は下がります。しかし、貫通した先の樹脂も、距離が近いと発熱して溶ける可能性があります。このような場合、中空の製品に対しては、遮光板も用いて熱影響を防止する方法もあります。

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