高周波ウェルダーの基本構成と特長

POINT

高周波誘電加熱によって熱可塑性樹脂の加工を行う装置

「高周波ウェルダー」とは、塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂(誘電体)を高周波誘電加熱によって溶着、溶断する装置のことです。
日常生活品はもちろん、医療・工業用品など、幅広い用途に使用されています。

高周波ウェルダーの基本構成

高周波ウェルダーは、「発振器」にて高周波電力の供給を行い、「制御ボックス」にて溶着時間、冷却時間の設定や溶着時の電流値を確認することが出来ます。「プレス機構」に取り付けた「金型」にて溶着部に圧力をかけながら高周波電界を加える事で、樹脂の溶着を行います。

発振器

「発振器」は、高周波電力の供給を行っています。プラスチック溶着用の発振器は一般的に27MHzの周波数帯域の電力を発生させます。この電力は、金型を通じて対象の樹脂に印加され内部発熱を発生させます。発振器は、電源の安定性や周波数の調整が必要であり、高周波の出力を一定に保つために非常に重要な部分です。

プレス機構

「プレス機構」は、樹脂の溶着面を加圧・保持する装置です。高周波による加熱で樹脂を溶かす際や冷却時に適切な圧力を加えることで、高い溶着強度を得ることができます。加圧の動力は、足踏みやエアーが一般的ですが、大型のものでは油圧を利用する場合もあります。

金型(高周波金型)

「高周波金型」は、加熱を行うための金型であり、高周波エネルギーが直接通る部分です。通常、金型は導電性のある金属(例:真鍮など)で作られ、発振器から供給された高周波電流を受け、加圧密着した直下の樹脂を加熱するためのツールとなります。均一な熱を加えるためには、電流の経路等も考慮する必要があり、対象物の形状や大きさ、加工内容を考慮して一つひとつ設計します。金型の形状によって、溶着、同時溶断、箔押しなどさまざまな加工が可能です。

制御ボックス

「制御ボックス」は、高周波ウェルダー全体の動作を管理・監視するための制御装置です。操作パネルやモニタリング機能が含まれており、溶着プロセス全体を制御します。発振器の出力管理、溶着のタイミングや同調設定などの他、安全機能が備えられており、装置の安定性を確保します。

高周波ウェルダーの特長

高周波ウェルダーは、外部加熱方式(ヒートシール工法)などと比較して、溶着強度や外観の仕上がりに優れています。ヒートシール工法では、ヒーターにて加熱した熱板をシートに押し当てる事で溶着します。シート表面から熱が伝達するため、溶着に必要な温度以上に表面は加熱されます。当然のことながらシート表面の溶融が最も早く、糸引きやバリなどが発生し外観を損ねます。また、冷却工程への切替時には、溶融した樹脂の固着前にシートを開放する必要があり、シワやヨレなどの歪みや溶着強度の低下につながる恐れがあります。前述の通り、高周波ウェルダーは内部加熱であるため、溶着界面の温度が最も高くなります。また、金型自体は樹脂の溶融温度に達する必要が無いため糸引きなどの心配もありません。冷却のためにシートを開放する必要もなく、強度と外観を保つことができます。

高周波ウェルダーの特長を簡単にまとめます。

  • 誘電体内部が一様に発熱するため急速で均一な溶着ができます。
  • 内部発熱により、外部加熱(ヒーター、半田コテ)のように外観を損ねません。
  • 迅速な温度上昇が可能です。
  • シート物の大きい溶着や平面の溶着も可能です。

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