高周波ウェルダーで溶着可能な材質

POINT

溶着適性は誘電力率で決まる

高周波ウェルダーで溶着可能な材質は、電気を通さない誘電体で、温度によって液状と固体の状態の間を行き来する「熱可塑性樹脂」です。
高周波ウェルダー加工に適すか否かは「誘電力率」の数値で決まります。どのような素材が適正なのか、詳しく見ていきましょう。

高周波ウェルダーで溶着可能な材質

高周波ウェルダーで溶着可能な材質は誘電体であり、塩化ビニール(軟質・硬質)、塩化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、フェノール、エポキシ、ABSなどがそれに当たります。それぞれの熱可塑性樹脂は、ある温度で誘電力率(tanδ)が最大になり、高周波ウェルダー加工に適すか否かはこの数値で決まります。塩ビ系統が極端に優れ、ナイロン、ポリウレタンが可能な熱可塑性樹脂といえます。

また、電極(金型)にヒーターを取り付け、事前に温度を上げることにより誘電力率(tanδ)が上がり、溶着が可能になる場合があります。

スパーク

高周波ウェルダーの金型と定盤は電極としての役割を持っています。そして、高電圧を利用する装置であるため、電気絶縁破壊によるスパーク(放電現象)が発生する恐れがあります。スパークが発生すると、溶着製品や金型が損傷してしまいます。スパーク防止には絶縁下敷きが有効です。また、スパーク防止装置が搭載された高周波ウェルダーを使用することで損傷を軽減できます。

スパーク発生の注意事項

高周波ウェルダーでの樹脂加工において、スパークが発生する代表的な要因とその対処法をご紹介します。要因が複数重なっている場合もあるので、一つひとつ解消していくことが重要です。

注意事項 要因・対策など
エッジの効いた金型を使用 角Rを取ると発生リスクを低減できる
金型の加工精度 空隙(くうげき)が原因となる。やすり粉も危険
金型温度の上がりすぎ 樹脂を加熱しすぎて炭化し焦げてしまうとスパークの要因となる。また、溶かしすぎて金型が絶縁下敷きに接触することでも発生する場合がある
ワークの凹凸形状 エンボス加工などでワーク表面の凹凸差が大きい場合に注意が必要
添加剤 可塑剤であれば問題ないが、色素顔料には注意。カーボンブラックや再生フィルム・シートなどに導電性物質が混入している場合など。表面コーティングも同様
溶断金型 同時に絶縁下敷きを用いる場会、下敷きの損傷が要因となる。下敷きが薄くなることで水分がたまり、これが原因となる場合がある
一度スパークした金型、絶縁下敷きの使用 しっかりと磨き、煤や焦げを除去する

絶縁シートの活用法

代表的な絶縁シートである「エンパイアクロス(布)」や「アベロン(紙)」は、高周波溶着では主に絶縁下敷として利用されます。溶着中のシートの電気絶縁破壊、一般的にはスパークと言われる現象を防ぎ、製品や電極・金型の破損を防止し、発熱したシートの熱伝導による下部電極となる定盤への熱の逃げを防ぐ役目もしています。

絶縁シートをうまく活用することで、誘電力率が低い薄い材料でも誘電力率が高い絶縁下敷きの加熱により、溶着が可能になる場合もあります。

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