POINT
幅広い分野で活用されており、さらなる技術革新が期待されている
超音波金属接合は接合品質と環境配慮を同時に追求できる数少ない方法です。再現性が高く、熱影響の少ない工法であるため、今後も自動車や電子機器、航空宇宙産業をはじめとした様々な分野で活躍が期待されています。一方で、ニーズが広がっていることにより、接合可能な材料や形状、大きさなどの課題も出てきています。
品質と環境への配慮の両立
超音波振動は、純粋な力学的エネルギーを使用してさまざまな金属を接合する技術です。この方法は、同一材料だけでなく異なる材質の金属同士の接合も可能にし、優れた品質と環境に優しい工法として注目されています。
1.熱影響範囲が狭く、材料を熱から守り、高品質な接合を実現します
2.エネルギー消費を削減し、コストの低減に加え、二酸化炭素の排出量も削減します
3.中間財を使わず、スペースを効率的に活用しながら、接着強度、耐熱性、導電性を高めます
4.異種材料の接合によって、軽量化と材料コストの削減が可能になります
スパッタの発生を防ぐ
スパッタは、溶接ワイヤと溶融池の短絡移行によって発生することがほとんどです。一方で、超音波接合は金属を溶融させることなく機械的エネルギーで接合を行うため、スパッタが発生しません。その結果、後処理が不要となり、洗浄などの工程を簡略化できるため、生産効率の向上が可能です。また、接合時に合金層が生成されることもなく、接合部の機械的特性や電気的特性に変化を及ぼしません。
未来を担う接合工法
自動車のEV化が進む中で、電池やモーター、インバータなどの大電流が必要な回路の接合や、軽量化に伴うアルミ線の接合が重要視されています。超音波金属接合は中間材を用いず金属を直接接合するため、高温環境にさらされる部品にも適した工法です。さらに、溶接と比較して熱影響範囲が狭いため、熱に敏感なLiイオンバッテリー関連の接合にも活用されています。こうした特性から、超音波接合は自動車分野に限らず、さまざまな産業分野で注目を集めています。