音波について

音波は、日常生活で広く存在し、物理学では振動を通じたエネルギー伝達現象として理解されています。音波は音として感知され、多くの技術応用の基盤を提供しています。音波の定義や特性、発生と伝播の仕組みを知ることで、その多様な特性と可能性を感じていただけると思います。

POINT

媒質を通じて伝わる振動エネルギー

私たちが普段聞いている「音」の正体とは何でしょうか? 話し声はもちろんですが、スピーカーから出る音やバイオリンの奏でる音は、どのようにして「聞こえる」となるのでしょうか。たとえば、バイオリンでは絃が震えることによって、その振動が空気を伝わって耳に届きます。この振動が耳の鼓膜を揺らし、脳が音として認識します。つまり、音の正体は「振動」なのです。振動は、気体・液体・固体を「波」のように伝播していきます。この音の波のことを「音波」と呼びます。

音波の定義と特性

音波は、空気や水などの媒質を通じて伝わる振動の一種であり、その特性には周波数や波長が含まれます。音波は振動エネルギーによって媒質の分子が押し合ったり引き合ったりすることで伝播します。音の高さは周波数に、音の大きさは振幅に影響を受けるため、例えば高い周波数の音波は高い音、低い周波数の音波は低い音として聞こえるのが特徴です。また、波長が長くなるほど音は遠くまで届きやすい性質があります。例えば、バイオリンの弦を弾いた際には弦が振動し、その振動が周囲の空気分子を押し引きながら音波を生成します。このような振動により、音波は媒介物を通じて音として感知されるのです。

音が耳に届くイメージ図

音の単位

音の振動数は「周波数」と呼ばれ、Hz(ヘルツ)という単位で表されます。1秒間に1回振動する場合、1Hzとなります。<振動回数が少ない=周波数が低い>ほど低音に聞こえ、<振動回数が多い=周波数が高い>ほど高音となります。バイオリンの絃を押さえる位置によって音の高低が変化するのも、振動回数(周波数)の変化によるものです。

聞こえるのに超音波?

一般的には「周波数が高く、耳に聞こえない音」と認識されている超音波。広辞苑では「振動数が約2万ヘルツ以上で、定常音として耳に聞こえない音波」と定義されていますが、産業界では「聞こえない」ではなく、「聞くことを目的としない」音を超音波と呼んでいます。人の可聴域(聞こえる周波数)は20Hz~20kHzとされていますが、超音波機器の中には耳に聞こえる周波数帯を使っているものもあります。当社製品にも可聴域の周波数である15,000ヘルツ帯を使用した製品があり、「耳に聞こえる音」ではありますが、聞くことを目的としているわけではありません。よって我々の定義上は「超音波」として扱います。

周波数と可聴域の範囲を表す図

振動と音の伝わり方

音波は物体の振動によって生み出され、その振動が周囲の媒質を通じて伝わる現象です。この媒質は空気や水、さらには固体の中の物質も含まれます。例えば、スピーカーの振動板が動く際、その動きで空気分子の圧縮と膨張が繰り返し発生します。この圧縮と膨張の周期的な変化が音波となり、空気中を伝わって私たちの耳に達します。楽器の弦が振動し、その振動が音波を発生させるのも、同じ原理に基づきます。

振動体が発生したエネルギーを周囲の物質に伝えていく仕組みにより音波が生まれ、それがまた異なる媒体を通して伝播します。この過程を理解することで、音波の基本的な性質をより深く把握することができます。また、異なる媒体間では音の伝わり方や速度が異なるため、どの媒体が特定の状況において音の伝播に適しているかを理解することが重要です。この知識は、音を用いた技術分野や通信技術の効率化だけでなく、医療や工業においても幅広く応用されています。適切な媒体を考慮することで、音波の特性を最大限に活用することが可能です。

二次加工分野での音波利用

音波は、精密加工や洗浄技術において非常に有効なツールとされています。人の手では難しい微小な隙間や複雑な形状の物体にも手軽に対応できます。また、効率的に作業を進めることが可能なため、時間や労力を効果的に削減できる点でも注目されています。例えば、超音波洗浄装置は、工業製品や医療器具の微細な部位に付着した汚れを効率的に除去するために使用されています。また、超音波接合技術では、部品の変形を最小限に抑えつつ強固に結合することが可能です。

これらの技術は、従来の手法に比べてより効率的で、高精度な結果をもたらすという特徴を持っています。

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